私が現在、十年以上もの長い間、故郷と呼ぶ場所は北海道の中心部、風光明媚な旭川市です。この市に暮らしながら、私は仕事柄、各地を飛び回っています。広い日本全国を駆け巡り、何度も首都・東京へと足を運ぶことがあります。その度に、心地よいとも言えないが、なんとも言えぬ不思議な感覚に私は襲われます。地図上で見れば、東京は当然のことながら、私の住む旭川から見れば、札幌よりも遥かに遠い場所に位置しています。北海道内では最大の都市である札幌へ向かうとき。しかし、なぜかその時の心の中を覗けば、気張りや時間の長さ、移動に伴う疲労感から感じ取れる距離は、遥か南の果て、鹿児島へ向かうよりも遠く、はるかな彼方に感じられるのです。一体何故でしょうか、私の感じるこの距離の錯覚は。北海道の広大な地と、東京と札幌という二つの都市の位置関係、そして旅の感覚と時間の流れの中で、私はどうしてこのような感覚を抱くのでしょうか？私自身が感じる距離感の不思議さ、その理由を探る旅はまだ続いています。
我々が普段感じている距離感について考えてみると、それは物理的な距離だけで決まるものではないことに気付くだろう。そして、それがどういったものかと尋ねられれば、「これは私だけの独特な感じ方なのか？」と私自身が思っていたある疑問から語らせていただきたい。何故かと言うと、これが実は私だけでなく、私が住んでいる旭川市民の間でも共有されている感覚だからだ。その感覚とは、都市間の距離についての意外な解釈であり、それは地図上の距離とは異なる、我々自身が経験から感じてきた距離の感覚によるものである。それは、札幌よりも遥かに距離がある東京の方が、実は私たち旭川市民にとっては近く感じる、というものだ。なぜ旭川から見て、札幌よりも遥かに距離がある東京の方が近く感じるのでしょうか？これは、物理的な距離だけではなく、人間関係や情報の流れ、そして文化的なつながりなど、様々な要素が影響しているからかもしれない。この現象は一見奇妙に思えるかもしれないが、私たちの感じる距離感とは、そういった非物理的な要素によって大きく影響を受けているのだと考えれば、理解する一助となるのではないだろうか。
見出し1：連絡手段の違い
私たちが日常的に感じる「遠さ」や「近さ」という概念は、単純に地理的な距離だけでなく、時間が大きく影響を与えることがあります。その答えの一つは、私たちが利用する交通手段に深く関わっています。例えば、私たちが東京に向かう場合を考えてみましょう。新千歳空港からの直行便を利用すれば最も手軽で、移動に必要な時間も約1時間半と非常に短いので、気軽に旅行プランに加えることができます。一方、札幌への移動を考えると、ここでは車や電車を使うことが一般的です。どちらを選んでも旭川からだと約2時間半の時間が必要となります。このように、物理的な距離は同じでも、移動に要する時間が異なるため、札幌の方が遠く感じることがあります。これは、時間と距離の関係性が私たちの感覚に与える影響を示しています。
見出し2：生活スタイルと関係
私たち旭川市民の生活スタイルは、生活環境と密接に関係していると言えます。日々の足元にあるのは、身の回りの生活必需品や娯楽を提供する近場の商業施設や、四季折々の風情を楽しむ自然です。静かで穏やかな暮らしの中で、私たちが足を運ぶ札幌という都市は、特別な目的がある場合のみ訪れる場所となります。それが、例えば一大イベントや、地元では手に入らない稀有な商品の購入、さらには専門的な医療を必要とする場合の専門病院での診察など、普段とは一線を画すような特別な事柄であることが多いです。それが、独特の都会の雰囲気と相まって、札幌がまるで異なる世界に感じられ、自身の住む場所から遠く感じる要因になっていると考えられます。しかし、それは決して悪いことではなく、日々の暮らしの中で少し違った空気を味わい、視野を広げる機会を提供してくれるものとして、私たち旭川市民にとっては貴重な存在なのです。
見出し3：大都市への無意識な憧れ
さらに、もう一つ考えられるのが大都市、特に東京への深淵な憧れという側面です。東京は日本の首都というだけでなく、様々な情報が絶えず集まるメディアの中心地であり、その情報量と質は他の都市とは比べ物になりません。あらゆるジャンルの最新情報が、テレビやインターネットといったメディアを通じて、瞬時に我々の生活に入り込んでくるのです。それはファッションからスポーツ、エンターテイメントから政治まで、尽きることのない情報源の海です。それに比べると、日本の他の地方都市、例えば札幌の情報量は圧倒的に少ない。もちろん、地域性を重視し、地元のニュースやイベントを発信することは重要ですが、やはり大都市・東京とは比較にならないほどです。また、地元・旭川の情報量と大都市・東京の情報量の違いが、人々の心に距離感をつくり出していることもあると考えられます。これは単に物理的な距離だけでなく、情報の取得や交換のしやすさ、生活スタイルの違いといった、精神的な距離感を指しています。これらの要素が組み合わさり、人々が大都市への憧れを抱く一因となっていると言えるでしょう。
まとめ
交通手段の違いや生活スタイル、大都市への無意識の憧れなど、旭川から見る東京と札幌の間に存在する”感覚ズレ”は、非常に多様で複雑な要素が絡み合って生まれているのです。たとえば、交通の便の良さや生活の利便性などが、この感覚ズレを生み出す一因となっています。また、大都市への無意識の憧れというのも、少なからず影響を与えていることでしょう。しかし、その一方で、心地よい自然環境や地元でしか味わえない文化、人々の暖かさなど、地方都市ならではの魅力も見逃せません。真実の距離とは異なるこの感覚ズレこそが、我々旭川市民の風土や独自の生活感覚を色濃く反映しているといえるでしょう。地図上の距離だけでなく、人間の感覚によって作り出される距離感を考えてみると、旭川のような地方都市の魅力や生活感覚がより深く理解できるのではないでしょうか。それぞれの都市が持つ特色や個性に目を向け、見えてくるものは、ただ単に地図上の距離だけでなく、人々の生活や価値観が作り出す”感覚の距離”として捉えることで、新たな視点が見えてくることでしょう。
